過保護な妖執事と同居しています!
8.クリスマスの攻防



 どうやらオレは海棠から警戒されているように思う。

 食事に誘ってもうまくかわされるし、ようやく承諾を得たかと思うと、友達を連れてくる。それとなくクリスマスの予定を聞いてみたら、友達とホームパーティの予定があると言っていた。

 焦ってしつこくしすぎたかなと少し反省中。

 オレを焦らせたのは、あの赤毛の男だ。この間、みんなで飲みに行った時にも、店の外に立っていた。

 おそらく海棠を迎えにきたのだろう。

 オレがあの男に気付いたことを海棠にもわかっていたはずなのに、どうして紹介してくれなかったのだろう。坂井がいたからか?

 海棠に彼氏はいないと聞いている。彼氏でないなら、坂井がいても紹介するのに問題はないはずだが。

 それとも彼氏がいること自体知られたくないということなんだろうか。
 あの男と海棠の関係が気になって、オレは益々急かされているような気分になった。

 また手遅れだったんだろうか。

 三年前、海棠に想いを告げようとした矢先、東京への転勤が決まった。想いを告げて、彼女が受け入れてくれたとしても遠距離になる。そう考えてためらっているうちに、海棠に彼氏ができたという話を聞いた。

 ぐずぐずしている隙に、横からさらわれたのだ。

 遠距離で彼女も自分も寂しい想いをせずに済んだ。そう自分に言い聞かせて捨てたはずの想いが、その彼氏と別れたと聞いて再燃した。

 別れて傷ついている彼女の心に、つけ込むようなまねはしたくない。
 だからもう少し慎重に時間をかけて距離を縮めていこうと思っていたのに。

 あの男の存在が、オレの心を乱し、焦らせる。
 今度こそは手遅れになりたくないから。



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