魔法がとけるまで
魔法がとける時
ミャーミャーミャー。



「コラ、起こさんでいいよ」



その声に、重い瞼を開いた。ショコラを抱き上げようとする座間さんの顔が、すぐ近くにあった。


「おはようございます」


その笑顔に、かぁぁぁぁ…と、頬がみるみるうちに紅潮した。



「祥子さん、照れ屋なんですね」



「………」



「朝食、勝手に作ったんで、どうぞ」



テーブルにはトーストとハムエッグ。千切りキャベツも添えてあった。



「カフェオレいれます」


キッチンに向かおうとした私を、座間さんが手で制した。



「それは、ヒモの仕事。料理って、なかなか楽しいもんですね」



ヒモ…。軽くついた嘘が今頃になって重くのしかかった。



2人でテーブルを囲んでの朝食タイム。食べるものはなんでも良かった。誰と食べるかで、こんなにも美味しくなるなんて。


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