YUKI˚*
巡る季節













「白川さん!」



「は、はいっ」




「あなた、このレポートはやり直し」



「え…ダメですかね?」



「うーん、今度の題材はちゃんと自分の気持ちも書いてほしいわ」


「…はーい」




渋々そのレポートを受け取り



あたしは食堂に向かって歩き出す





「あ、ゆきちゃーん!こっちこっち」


「おーユリちゃんっ!」



ユリちゃんを含めた仲良しグループの子達は、もうテーブルを囲んで座っていた



「ゆき、遅かったね?」



グループの一人の子が言う



「あー、先生に捕まっちゃって…レポート書き直せって言われちゃった」



あたしがそのレポートを取り出しながら言うと



「あーっあたしも!一緒一緒!」



と、ユリちゃんが何故か嬉しそうに言った




「あー…最後、主人公たちが心中する古文の題材でしょ?恋物語だから書きやすいじゃーん」



「あの先生ねー、恋愛ものの題材はうるさいのよねー」



「えー?あんなの自分の恋愛交えて書けばいんだって!あの先生そういうの好きだから」



「うーん…」



自分の恋愛…





「てゆーか、ゆきとユリってやっぱ似てんね!恋愛になると消極的なとことか」



「ねー、あんたら頑張れば全然行けんのにー」



「ははは…」




あたしはユリちゃんと一緒に苦笑い





その後も、ご飯を食べながら他愛もない話をして



「じゃー、そろそろあたし行くね!」


「あ、待ってゆきちゃん!あたしも行くー」



あたしが立ち上がると、ユリちゃんも一緒に立ち上がった




「本当あんたら似てるっていうか仲良いっていうか」



「名前もゆきユリで似てるしねー」



「はは、じゃーね!ばいばい!」



「ばーい」




そのまま食堂を後にして



ユリちゃんと並んで歩き出した






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