春に想われ 秋を愛した夏
八月初めの戸惑い


 ―――― 八月初めの戸惑い ――――




夏真っ盛りのぎらぎらとした太陽の暑さに、へばり気味の日が続いていた。
毎日、照り返しのきついアスファルトの上を歩くことが苦痛で仕方ない。
おかげで、外にランチへ出る回数も減っている。

「最近。やつれた?」

結局彼氏と同棲をすることになり、もうすぐ引越しを控えているミサが社食を食べながら顔を覗き込んでくる。

「この辺なんか、ちょっとヤバイよ」

頬の辺りを示して、こけてきてる。と教えてくれる。
そんな私とは裏腹に、ミサは今日も元気いっぱいだ。

「解ってるんだけど。暑さで食欲ないことが多くて」

元気なく漏らす私のランチメニューは、一応焼き魚定食だった。
けれど、箸をつけたのは味噌汁とお漬物におひたしを少しずつ。
メインの魚も炊き立てで見た目は美味しそうなごはんも、口元まで運んではみたけれど、その先へもっていく気力がない。

「そんなんじゃ。倒れちゃうんじゃない?」

彼との同棲間近で幸せ満開のミサは、気遣いもばっちりだ。

「ほら、これ食べて」

自分のヒレカツ定食のカツを一切れ、私の焼き魚の横に置いた。
その気遣いはありがたいけれど、油で揚げたこってりなヒレカツをとても口に運ぶ気にはなれない。

「ごめん。食べられないよ」

ミサは、困ったね。と言って、一度私のお皿に置いたカツを箸で掴み、自分の口へと運ぶ。

「美味しいのに」

もぐもぐとヒレカツを食べるミサの、元気いっぱいな様子が羨ましい。


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