呪いのブレスレット
目の錯覚か
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「亜美! 部活行こうぜ!」

放課後、いつものように翔平がラケットバッグを背負いながら迎えにきた。

日に焼けた屈託のない笑顔。

あの時のことを翔平はもう気にしていないようだけど、あたしはまだ引きずっていた。

翔平がどうのこうの……嫌いになったんじゃなくて、ひかりが気になって、それに付随して小杉が気になっている。

「亜美?」

ボケッとしてしまったところへ、翔平が眉根を寄せて近づいてくる。

「この前のこと、気にしているのか?」

「えっ? ううん。そんなことないよ。ちょっと考え事しちゃってた。行こう!」

あたしは椅子から立ち上がると、通学バッグとラケットバッグを持つ。

「あさって、部内ランキング入れ替え戦やるってさ」

「そうなんだ。あたしはレギュラー落ちしないようにがんばるしかないけど、翔平は楽勝だね」

階段を下り、昇降口で上履きから靴に履きかえる。
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