エターナル・フロンティア～前編～

第一章 異端の力

第一話 幼馴染

　どこまでも続く暗闇の世界は静かで、音さえ存在しない。その場所は冷たく過酷な環境だが、昔から人はその空間に思いを馳せ様々な空想を巡らしてきた。いつかこの空間を制覇する為に――

　何故、これほどまで人を引き付けて止まないのか。

　何故、人はこの空間を目指すのか。

　今になっては、それを知ることはできない。

　ただ、ひとつだけ明確な回答をすることができた。それは、不安定要素と不可思議な物には魅力があるというもの。誰もが持つ夢と希望。儚くも巨大な真意。そしてそれぞれの惑星(ほし)に暮らす者達は、長い年月を経てそれを現実に行えるだけの高い技術を得ることができた。

　それにどれほどの年月を費やしたのか、誰にもわからない。けれども夢を現実として迎えた時、その者達の生活は大きく変化したといっていい。宇宙という壮大な空間に出た瞬間に――

　同時に、ひとつの力が齎される。しかし予想以上に強力な力であった故、多くの者はその力を恐れ戦く。それは進化の過程の些細な出来事だと認識できればよかったが、残念ながらそれはできなかった。

　それは、何ゆえ――

　それらの出来事は遠い昔の物語なので、その真意はわからない。わからないがこれだけはハッキリとしており、正しい意味を見付けなければ不幸な者が誕生してしまうというもの。

　だけど、誰も真実を知ろうとしない。

　故に、様々な人が誕生する。

　そして、闇が生まれた。

　それは、心の中に住む悪魔といっていい。


◇◆◇◆◇◆


　遠い昔、人々が思いを馳せた漆黒の闇が支配する未知なる空間を、一隻のシャトルが飛行していた。それは民間のシャトルで、長距離の移動を目的として設計されたものだった。内装には意外にも充実しており、乗客用の休憩室の他長旅に必要な様々な設備が整っている。

　このシャトルは数年前に設計されたものだが、この型は需要が高く外見とは裏腹に最新鋭のコンピューターを搭載している。コンピューター制御の支流によりコストは安く、シャトルの中には出張帰りのサラリーマンに和気藹々と会話をしている家族。または友達との旅行など、客の顔ぶれは様々。