三年目の私たち


電話を切った途端に、涙が溢れ出した。



通話時間は一分も経っていない。だけど彼の言葉が、声が、頭の中でリフレインして消えてくれそうになかった。



といっても、彼が言ったのは単なる用件だけ。



『ごめん、トラブルが入ったから今日は帰られないかも。先に寝てて』



早口で告げた彼は、私に返事をする間も与えず電話を切った。



吐き出すことのできないもやもやした気持ちは、涙になって込み上げてくる。せめて零れ落ちてしまわないようにと、大きく息を吸い込んで顎を上げた。



だけど、既に手遅れ。



堰を切ったように溢れ出す涙は留まるところを知らず、頬を伝い落ちていく。受けめようと指先が触れたら、嗚咽が漏れた。



その瞬間、背後からどっと浴びせられる笑い声。



声の正体がわかっているのに、振り返った私は失笑。観てもいないのに点けっぱなしにしているテレビのバラエティ番組。



笑いの余韻に包まれたスタジオと、この部屋とはまるで別世界。



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