私は男を見る目がないらしい。
4.信頼したい男

*頼み 「……頼みがあるんだけど」

 

**

「……美桜」

「ん……っ?」

「好き。」

「……ん、っ……、」


するりと朔太郎の腕が私のお腹に絡み付く。

……その手は“目的を持って”下と上に移動して、動く。

朝の心地よい太陽の光に目を覚ましてから今の今まで、たっぷり1時間は私の身体を触り尽くしていたにも関わらず、だ。


「……っ、あ、っ……も、無理だってば……そろそろ起きなきゃ」

「……体力ねぇな~」

「朔がおかしいんだよ」

「そうか?でもなー、好きな女にずっと触れていたいと思うのは当然のことだろ?……コレだって、自然現象だし」

「!!ば、バカっ!!」


背後に押し当てられた熱に、私は慌てて身体をよじらせて逃げる。


「くくっ。美桜ってかわいいよな~いつまでたっても慣れねぇし」

「なっ……」

「そこがいいんだけど。だから、さ。」


朔太郎の片方の手が私の胸をふにふにと形を確かめるように、動き始める。

その気持ち良さについ身を委ねてしまいそうになった時、くんっと先端を意地悪に摘まれ、私は思わず声を出してしまう。


「っあ!ちょ……っ、もう起きる!から!」


このままだとずっと流されっぱなしになってしまう!と思った私はガバッと起き上がり、朔太郎の腕からするりと逃れる。


「ちぇー。つまんねぇの~。もっとしたかったのに。まぁ、また夜でいっか~」


ふんふんと機嫌良さそうな朔太郎の言葉に、なんだそれ!と思ったけど……拒否はしないでおいた。

恥ずかしいから口には絶対に出さないけど、何だかんだで……私は朔太郎に触れられるのが好きなんだ。

 
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