イジワル上司に恋をして
「すげぇイタイ奴」


目の前に影が出来たと思ったら、次のことを考える暇もなく“そう”なってた。


鼻腔をかすめるタバコの残り香も、後頭部に感じる大きな手の感触も。
言葉を発せない状態にある自分の唇も。

それは確実に、『夢』でも『妄想』でもなんでもなくて、『現実』だ。


「オマエの妄想に付き合っただけ」


たった数センチ離れた位置で開いた、その男の唇からは「くっ」と漏らした笑い声とそんな言葉。


「アタリ、だろ?」





――――ふっ…………ざけんなっ!!










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