今日は、その白い背中に爪をたてる
嫌味な背中
暑い、暑い、暑い。


すっかり陽射しは真夏だ、普段室内にいると耐性がなくて困る。


日焼け止めのベタつきを嫌う私はせめて服装でUVをカットしようと試みて、キャップを目深にかぶりレイバンのサングラスをはめていた。


…といっても暑さに勝てずにノースリーブワンピースだけど。


踵の低いサンダルでアスファルトの街を歩き、とある高層ビルの前で立ち止まる。


石に彫られたテナント名を指でなぞり、最上階でその動きを止めた私は自動ドアをくぐり中へ入った。



「クロード・レイズにお会いしたいのですが」



受付に澄まして座る美人な女性(レベルは中々だが撮る意欲が湧かない、イマイチ)に声をかけると、怪訝そうに眉をあげて見上げられる。


そりゃそうだと思った。


スーツでもなく普段着のサングラスも外さない女が突然責任者の名を出したのだ。


無礼な女と思って当然だろう。


でも。


残念ながらお嬢さん、私もそこまで馬鹿ではないの。



「レイズさんに私の名前を言って頂ければ分かると思うわ、堂林アキラと」



「えっ!?
あ、はい、少々お待ち下さい……」



こんな得体の知れない女にも彼女はきちんとアポイントメントはお取りですか、と尋ねてくれたので、サングラスを外してニッコリ笑顔付きでそう言うと。


彼女は慌てて電話を取って何やら英語で確認しだした。


へえ、この子英語いけるの。


カウンターに頬杖をついて観察していると、見る見るうちに彼女が赤くなる。



どうも私は女にモテるらしい、笑顔一つでイチコロだ。


ただし、同性のみ。



「…大変失礼致しました、すぐにご案内致します。」


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