捨て猫にパン
*鏡の迷路*
「おはよう、真琴」


迎えた午前4時は、陣の腕の中。


何も変わってない陣の温かさと、何も変わらないあたしの心がはがゆい朝。


「おはよう。あたし、コーヒーいれるね?」


「ちょい待ち」


ベッドの下の脱ぎ捨てた服をすくおうとするあたしの手を、陣が握った。


「なぁに?陣」


「昨夜、どうした?」


「何でも、ない…」


「何でもなくて、泣きながら来たのか?」


「うん…」


「言えよ。またアイツと…」


「あのね…!」


「ん?」


「あのね、寂しかったの…。近頃、忙しくて全然会えなかったから…。陣といたかったの。それだけなの」


「ホントに?」


「うん…」


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