未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
言葉にしないと……
「君がさっき言った事について聞きたい」

「はあ? 俺はまだ何も言ってない」

「いや、言ったよ。“姉貴を泣かした”とか何とか……」

「ああ……」


伊達政宗は否定しなかった。という事は、俺の聞き違いではなかったという事だ。


「ひょっとして、“姉貴”って小松の事か?」

「はあ? 当たり前だろ?」

「それは、“姉貴分”って意味か? つまり、小松は君にとって姉のような存在という事かな?」


俺は滅多に観ないが、ヤクザ映画でチンピラが上司(?)の妻に対し、“姐さん”とか“姐御”とか呼んでいるのを聞いた記憶がある。それと同じようなものかな、と思ったのだが……


「違えよ。姉貴はれっきとした俺の姉さ。俺達は、たった二人の血を分けた姉弟だ」

「そんなバカな。だって、君達は苗字が違うじゃないか……」

「親が離婚したからだよ。あんた、姉貴から聞いてなかったのか?」

「聞いてない」


というか、俺が聞きそびれてた。小松はたぶん隠そうとしてたんじゃないと思う。俺が伊達政宗、いや政宗君の話題を避けてたから、それで言うタイミングがなかったのだと思う。


「なんだ、そうだったのか……痛っ」


思わず俺はそう呟き、頬が緩み、切れてるらしい口の脇がビリっと痛んだ。

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