アイツ限定
この背高のっぽっ!

◆◇◆


「キャーっ!マリマリっ!見て見て、同じクラス同じクラスーっ」



桜の芽が芽吹くこの季節。

清々しい風があたしの髪を乱す。


隣の明日香(アスカ)が、ピョンピョン跳ねながら、玄関に貼り出されているクラス表を指差して喜んでいる。



「はいはい……。あーよかったねぇ~……」



あたしは、真顔で適当に返事を返す。



「きゃぁ~!見てよ見てよ、村上(ムラカミ)君も一緒なんだけどっ!」



明日香が再び、目をキラキラ輝かせて、あたしの肩をゆさる。



…村上?


誰?


あたしは、首をかしげた。



「もしかして、マリ、村上君知らないの?村上聖也(ムラカミ セイヤ)君っ!」



明日香は、大きな目をもっと開いて、あたしの顔をまじまじと見てくる。



「……あたし、男なんて興味ないし」



「まぁ、そうだけどさぁ~……。村上君は、私の見てきた最高のイケメンの中でも、もう断トツだよ!

あぁ~……。もう席とか隣だったら最高なんだけどなぁ~……。

よし、行きますか、高2の新クラスっ!」



そういって、明日香は、あたしの手を引いて校舎内へ勢いよく入って行く。


もう、イケメンとか興味ないんだけど。


そう思いながらも、あたしは明日香に手を引かれるまま、新クラスへと向かう。


そして、あっという間に”2-3”というプレートが上に見えた。


< 3 / 199 >

この作品をシェア

pagetop