極上な恋をセンパイと。
お前が好きだ。


ドクン

ドクン

ドクン


心臓が加速する。


引き寄せられるように振り返れば……そこに現れたのは。




「……はあっ、はあっ……はあ」



どうして……。




「久遠……セン、パ……」




息を切らして、肩を激しく上下させて。
走ったせいで上気した頬、乱暴に緩められたネクタイ。

脇に抱えたスーツジャケット。


あたし達の目の前に突然現れたセンパイ。



「な、なんでここに……?」


呆然と呟くと、チラリと視線と落としたセンパイはそのまま顔を上げた。




「宇野さん」


え?

センパイはあたしを通り過ぎて、浩介の前に歩み出た。

茫然とその背中を追っていると、次の瞬間ギョッとして息を呑んだ。



「申し訳ありませんっ、佐伯の事諦めてもらえませんか」

「え……?」



……センパイが……。
浩介に頭を下げていた。



< 223 / 243 >

この作品をシェア

pagetop