淋しいお月様
ロールキャベツは難しい
「でねっ、凄いおお盛り上がりだったんだよ。もう大盛況大盛況」

私はビールを片手に、今日の職場のランチタイムについて報告していた。

「それはよかった」

セイゴさんも、缶ビール片手に、彼お手製のジャガバタコーンを匙ですくっていた。

ここに用意された晩ご飯といい、お昼のお弁当といい、ほんとセイゴさんって料理上手。

「魔法のお弁当だよ。みんなが集まってきた」

「うんうん。魔法、かけといたから」

「やっぱり? セイゴさんって只者じゃないって思ってた」

「ははは」

困ったように笑い、ビールの缶を傾けて喉に流し込む彼。

「セイゴさんと出会ってから、毎日が楽しいよ。家にはセイゴさんがいるし、外では友だちもできたし」

彼はちらっと私を見、そして視線をずらして言った。

「ほんとによかったね」

「うん。ありがとう、セイゴさん」

すると、彼はぐいーっと缶ビールを飲み干し、席を立った。
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