ハッピー☆ウエディング
彼の言葉


あれから、どうやって帰ってきたんだろう……


あたしはベットにうつ伏せになって、慶介の事を思った。








――――――・・・・
――――・・・




『葵、キスしようか』


慶介を見ないあたしの顔は、そっと引き寄せられた。
すごく自然な動きでクイッと上を向かされる。


慶介の顔が真上にある。




綺麗な長い睫毛…
あたしより長いのかな。



その腕からは、逃げたくても逃げられない。
慶介のメガネにあたしの顔が映ってる。


だんだん近づいて、もう息がかかりそうな距離に慶介の唇がある。

その距離に合わせて
あたしの心臓も加速をはじめた。

足はガクガクと震えだして、もうそれだけで立っていられなくなりそうだった。







あたしを包む、慶介の甘い香水の香りと……
ちょっぴり、漂う煙草のほろ苦い香り……




全部、初めて知る感覚…




首と腰に回された腕に力が入り、あたしの体は今にも持ち上げられてしまいそうになった。


顔を少し斜めにして、慶介はあたしの唇にキスをする。



――触れるだけの、優しいキス



顔を離して、違う角度からもう一度キスをされる。




……メガネしてても、キスって出来るんだ…




不思議な事に、重なる唇から、あたしの体は熱をおびはじめた……



『ん………』



慶介の服の袖を掴む手に力が入る。


この人はなんてキスが上手いんだろう。


あたしは慶介のキスで頭が真っ白になってしまったんだ………






―――――――・・・・
――――・・・



あわわわわわっ




あたしはジタバタもがいて仰向けになった。




思い出しただけでも、恥ずかしいよーっ!




あたしは左手の薬指を見つめた。



「ハァ……これからどうなるんだろ…」



冷静を取り戻したくて、あたしはそっと目を閉じた。

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