年下オトコたちの誘惑【完】
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翌日。

仕事を辞めても、起きる時間は変わらなくて。ベッドから起き上がり、カーテンを開け両腕を上に上げると、思い切り伸びをした。

「ふぁ〜…」

太陽を体に取り込むかのように、深呼吸をして。その瞬間に、わたしの一日が始まる。

「すっごいイイ天気だなぁ。まさに海日和だなぁ」

今日からオープンするんだっけ、あの海の家。ライオン碧都は『絶対来いよ』って言ってたけど、ほんとに行ってもいいのかな。『マジでお前来たの』とか言われたら、どうしよう。考えすぎ…?

でもね、あのライオン碧都の笑う顔が忘れられないの。ほんの一瞬だったけど、でも何かがわたしの中で動いた気がしたんだ。ほんの少しだけど。

「悩むくらいなら、行って悩もうかな」

小さく決意したわたしは、そのまま浴室に行き頭からシャワーを浴びた。昔から朝シャワーは日課で、朝浴びないと気持ち悪い。

だから、寝坊した時はかなり焦ったなぁ。会社を取るか、シャワーを取るか。って、普通の人間なら会社を取るんだけど、わたしにとったら大事なことで。

ただ綺麗好きなわけでもなく、ほんとに習慣になっているだけで。今更この生活を変えることはできない。

シャワーを浴びて、肩まで伸びた髪を乾かし、慣れた手付きで化粧をする。

あまり濃いメイクが好きじゃないわたしは、チークもなし。マスカラもバサバサするのが嫌で、こちらもなし。だからって自分の顔に自信があるわけじゃない。

目が小さいし一重瞼だから、『怒ってる?』と聞かれたことも、しばしばだし…。だからってプチ整形しようとは思わないし、もうこのままでいいか、と諦めた。

友達がいないわけでもないし、これでも彼氏はいたことあるんだし。中身を見てくれる人は、たくさんいるんだから。

そんなことを思いながら5分で仕上げた自分の顔。これなら男性のほうが時間かかってるかも…。鏡に映る自分を見て苦笑いした。
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