エンビィ 【完】
セツボウカラハジマル





誰かが笑うとき、誰かが泣いている



――――とはよく言ったものである。






あたしがそのカラクリを知ることは一生ない。


生涯あたしは、カラクリの上に成り立った嘘に、行き場のない感情を持て余しながら、生き、そして死んでいく。




あたしがそのカラクリを知ることは一生ない。なぜなら、そんな大がかりな大芝居をする理由が見当たらないから。



だって誰が、

だれが、信じるというのだ。




たった一人の――――遊び半分か。


はたまた真剣に願ったのかは知る由もないが、その願いを約束だからと言って叶えるなんて―――――誰が鵜呑みにするというのだ。






だから、このカラクリを知る日は一生こない。







< 1 / 195 >

この作品をシェア

pagetop