甘い唇は何を囁くか
第4章「compensation」
見知らぬ外人(かなりイケメン)に、子供扱いされた以外は、初日にしては最高な夜になったはず。

遼子は、先ほど食べたレストランの魚料理を思い浮かべながらうんうんとうなづいた。

やはり、海辺の町だけあって海鮮ものに間違いはない。

若い頃に比べて、最近じゃすっかり魚派になってしまったし…あ、いやいやそこはまだまだ若いと思っておこう。

それとも、こんなことを考えてるあたり、若くないのかしらーなどととりとめないことを色々と考えているうちに、ホテルが見えてきた。

実は、海外旅行というもの自体、これが初めてなのだけど、以外にも落ち着いてる自分がいる。

まあ、昔から肝が据わってるとか、男らしいとかは言われてきたのだけれど。

だけど見た目は、頼りなげに見えるらしくて異性からはことごとく、思っていた感じと違ったとか、君は1人でも生きていけるよとか言われてー、嫌なことを思い出してしまった。

ぶんぶんと頭を振り、記憶の消去を試みる。

それよりも!

やっぱり海外には日本にはいないレディファーストの外人が沢山いるのよね、と頭の中で誰にともなく話しかける。

あの、私を子供扱いしためちゃくちゃイケメンは特別だけど、椅子を引いてくれたり、わかりやすい英語で綺麗とか可愛いとか言ってくれるし、道を尋ねるだけで恋をしてしまいそうなくらいである。
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