くれなゐの宮
名前

翌朝。



おれは早々に呼び出され、イロヒメと共に朝食を取る事になった。


「昨日はよく眠れたか?」


朝から穏やかな表情でおれに問いかけてくる彼女は、髪を結い、昨日よりも一段と軽装で。

昨日の格好が正装だったのだと後から気づく。


「あまり、眠れませんでした。」


…というのも、どこからか笛の音や太鼓の音が夜通し聞こえていたせいで気になって仕方なかったのだ。

近いうちに祭りでもあるのかと疑問に感じたが、その疑問は間もなく彼女の返事で解決した。


「来週末に、国一番の祭りがあってな。」


だから皆、夜通し練習に勤しんでいるんだ。とイロヒメは微笑む。

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