愛してもいいですか
5.シャンパンの泡のように




その長い指先が触れる度、心の奥が音をたてる。

全身が熱くなって、そんな私を見て笑う顔にまた、どうしようもなく。





ある日の社長室。そこにはいつものようにデスクにつく私とその隣に立つ日向。そして、その目の前にはガッチガチに緊張したまだ若い男性社員という光景があった。



「えーと、デザイン部の前田さん?選考の結果、今回の空間デザインコンテストの参加者はあなたに決めさせて貰いました」

「は、はい!光栄です、あっありがとうございます!!」



というのも以前頭を悩ませた、コンテストの参加者。日向の提案により候補者に課題としてデザイン案を出して貰ったところ、結果私が選んだのは新人社員の前田さんだった。

その正式な依頼をするべく呼び出したわけだけれど、目の前の彼は怒られるわけでもないのに緊張で固まり冷や汗をダラダラと流している。



「大丈夫?そんなガチガチで」

「えっ!?あっ、すっ、すみません!自分のような新入りが、まさか、その……」



一言受け答えをするだけで、余計に彼はオドオドとしだす。


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