年下オトコたちの誘惑【完】
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「あーぁ。何か二人、ええ感じやなぁ…。ええの?あーちゃん」
「あの二人、どういう関係だろうね?かなり親しそうだよねぇ」
「杏ちゃん、何回抱きつく気なんだろう…。ボクには抱きついてくれないのに…‼︎」

ヒマな時間帯で、良かったのかもしんねぇ。俺ら四人は、杏たちを食い入るように見つめていた。

あのオトコが来た時の、杏の安心感。心許した相手にしか見せない、雰囲気だったように見えた。

つか、いくつまで風呂入ってんだよ。高校生つったら、もう成長しきってんじゃねぇかよ。

15分が長ぇ…。つか、あと何分だよ。こいつらの言う通り、全然二人の関係が見えねぇ。

杏の表情がコロコロ変わる。泣いたり、笑ったり、驚いたり。終いにゃ、抱きついたり…。

全員、手が止まり杏を見てると、オトコが目を細め、大切なモノを扱うかのように、杏の髪を撫でた。

そして、ゆっくりと俺らのほうへ、視線を向けた。

ガン見してたから、バッチリ目が合うわけで…。

あー、すげぇカッコ悪りぃ…。

そんなことを知ってか知らずか、オトコは『碧都くん、ちょっとイイ?』なんて、涼しい顔で俺を手招きした。

なんで俺の名前知ってんだよ。杏が言った、んだよな…?

どうして俺の話になる?杏、お前は俺のこと、どう思ってる?

ソイツは誰だよ。すげぇ気になって、しょうがない。

杏を忘れようとしたけど、ダメなんだよ。杏じゃなきゃ…。

俺は、ゆっくりと杏に近付いた。
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