私んちの婚約者
困惑、婚約者
***
あったかくて、気持ちよくて、いい香り。


「……ん」


目が覚めると、白い天井。
カーテンの隙間から差し込む光。

私の家だ。
けど、私の部屋じゃない。

ボケッとした頭で、思いだそうとして。


隣で何かが動いた。


……?


横を向いた私の視界にまず入ったのは手。しかもおっきい。私のじゃな……


「……っっ!!?」


その向こうに見えたものに、目を疑った。


すぐ隣で眠る、イケメン。
黒い髪がさらりと額に溢れた。


まつげ、長い……。


じゃないわあぁっ!!!



「うきゃああぁっ!?」



思わず飛び起きた私の奇声、いや悲鳴に彼は顔をしかめて目を開けた。


「ウルサイ、梓。
おはよー……」

「お、おはよう」


……じゃない!
悠長に挨拶してる場合か!

何?
何なのこの状況。

夢!?なんかの罠?今日エイプリルフールだっけ?いや違うな!


おろおろと挙動不審な私を横になったまま眺めていた愁也が、片肘をついて身を起こすとーー恐ろしく色っぽく、ふっと笑った。


「なるほど、凄い取り柄だね」


はああああ!?


何をしたんだ、私ーー!?


蒼白な顔で、慌てる私がよっぽど面白いのか、愁也は声を上げて笑い出した。
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