ただ、君の隣にいたいだけ
act 10 どうして、黙ってた?
亮輔さんと付き合い始めて三ヶ月、あっという間に過ぎた。あまり出かけたりはしなかったけれど、公園デートやサイクリングは楽しい。でも一番の思い出はやっぱりあの付き合った日。


夏のショーの打ち上げ、手を繋いで二人で一緒に行くと早速、アクシーズのメンバーから質問攻め。



今日は無礼講だと河島さんの奢りで亮輔さんは男性陣にこれでもかと飲まされ、私は綾羽さんと愛梨さんに祝福された。拓馬くんは彼女さんと無事やり直すことになったらしい。


やったね、おめでとうとはしゃいでいたら横から呂律の回ってない亮輔さんが拓馬くんに絡んで大変。


「おい、拓馬。俺のかなひゃんに、ちかずくな」



普段は飲まないからどんどんとお酒が弱くなってるみたいであっという間に顔は真っ赤で舌足らず。さらには全員の前で「花菜ちゃんが大好きだ」と宣言までしちゃって私たちはすっかりメンバーの公認の仲。


亮輔さんが機嫌の悪いときは私が宥めることにまで決定してしまった。



打ち上げの帰り、家の前で亮輔さんはピタっと立ち止まり、咳払いをした。私がどうしたの?と尋ねると



「ちゃんと花菜ちゃんのお母さんに付き合うことになったって報告したいんだ」



乱れた服を整えて胸の前で手を上下に動かす。お母さん、きっと寝てるよ。それに亮輔さんとてもお酒臭いですよ。そう言いかけたけれどあまりに真剣な亮輔さんの姿になんだか嬉しくなった。


当然、家に帰るとお母さんは眠っていて報告は次の日になったんだけどすごく喜んでくれた。亮輔さんから報告したいって言ってくれて本当、嬉しかったな。
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