幸せの花が咲く町で
◆優一

流れるままに流されて…





(絶望的だな……)



僕は、昼間のことを思い出し、深い溜息を吐いた。



今日の篠宮さんの態度は、いつも以上に冷たいものだった。
僕と目を合わせようとしない。
そればかりか、小太郎のことまでもなんだか避けているように思えた。



(そんなに僕達のことが嫌いなのか……)



数か月前はそんなことは少しも感じなかった。
それから何があったのかなんてわからない。
ただ、篠宮さんが、僕達を避けようとしていることだけは紛れもない現実だ。



(これからはこっちからは極力関わらないようにしないとな……)



小太郎にはそんな大人の事情はわからないだろうから、おばちゃんに挨拶をするなとは言えないが、軽く会釈だけして通り過ぎれば良い。
それほど深く考えるようなことでもないさ。



(母さん……わかってるよ。
もう篠宮さんには関わらない。
それがお互いにとって良いことなんだよね。
……わかってる。)



そういえば、翔君ママも最近はあまり話し掛けて来なくなった。
一応、子供達はお互いの家を行き来してはいるけど……



きっと僕はあまり人に好かれるタイプじゃないんだろう。
まぁ、その方が楽だけど、やっぱり僕は何に関してもだめな人間なんだと、少し気分は落ち込んだ。
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