不器用なシンデレラ
15、過去の呪縛 ー 理人side
 あれは、高3の冬だった。

 粉雪が舞うきれいな日に、あいつは逝ってしまった。

 俺の親友・・・大貫圭吾。

 建築家になるのが夢で、学校ではいつも教室の隅で読書していたとても穏やかな奴だった。

 圭吾とは小・中・高とずっと同じクラスだった。 

 あいつには小学生の頃から好きな女の子がいた。

 それは、俺の幼馴染みの・・・山下花音。

 かなりドジで不器用だけど、笑うととても可愛い女の子。

 最初に出会ったのは幼稚園の頃。

 双子の妹と一緒に引っ越してきたが、家庭の事情が複雑で彼女は祖母と一緒に住んでいた。

 妹は我が儘でいつも取り巻きが2-3人いたが、花音はいつもひとりぼっちだった。

 いつも無表情で誰とも遊ばなかった。

 だが、ある日俺がピアノを弾いていると、花音が興味を持ったのか俺の側に寄って来た。
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