サヨナラなんて言わせない
えも言われぬ感情
結局俺は朝まで一睡もできなかった。

だが彼女にはそれを悟られないように平常心を装って接した。
とはいえもともと彼女との会話なんてないに等しいのだが。
その日はいつにも増して彼女もどこかよそよそしかった。
やはり夕べのことが関係しているのだろうか。

俺と彼女の関係は・・・・

思い出せないことがもどかしい。
場合によっては俺は彼女に対してとてつもなく酷な状況をつくってしまっているのではないか。
そう考えるといてもたってもいられなくなり、少しでも記憶の欠片を手にするために俺は街へと繰り出した。

だが焦れば焦るほど、何一つ掴めるものはなかった。


帰り道、昨日見かけた洋食屋の前を通ってみる。

ドクンドクン・・・・

やはりそうだ。
何故かはわからない。
だが『オムライス』というキーワードは俺にとって何か重要な意味をもつ。
そのことを確信した。

それと昨日の彼女が見せた反応。
どうしても無関係だとは思えなかった。
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