赤い流れ星3
side 和彦




(馬鹿馬鹿しい……)



俺はふと頭を過った想いに苦々しく眉をひそめた。



野々村さんが大河内さんに友達になってほしいと言っただけで、まるで財産目当てのようなことをいうアッシュには正直腹が立った。
そりゃあ、あいつは俺ほど野々村さんとは親しくないから仕方ないのかもしれないが、全く知らないわけじゃない。
何度も会っているのだから、野々村さんがそういうタイプかそうでないかくらいわかるはずだ。
亜理紗の件でごたごたした時だって、野々村さんにはあんなに世話になったというのに…
マイケルはマイケルでおかしなことを言い出すし、それに美幸までが同調して…



それに、野々村さんも野々村さんだ。
友達になりたいのなら、あんなに皆の前で大袈裟に申し込まなくても良さそうなものだ。
機会をみて、こっそり言えば良いじゃないか。
そんな理性もなくなる程、楽しかったということなんだろうか?



(……それとも……大河内さんにそれほどひかれたって事なのか?)



馬鹿な…
俺は、一人失笑し、頭を振った。

大河内さんは元気は元気だが、見た目は明らかな老人だ。
長く伸びた白髪に白い髭…どこか浮き夜離れした風貌で、身長は野々村さんより低い。
顔は、温厚で年齢の割りに無邪気な感じがして…いや、だからといって若く見えるということではない。
良い人には見えるとしても。マイケルの言うように男としての魅力があるとは思えない。

だから、きっと野々村さんはとにかくあの日のことが楽しくてたまらず、それで友達になりたいと…ごく、率直にそう感じただけだと思ってる。
いくら男っ気のない野々村さんでも、倍近く年上の大河内さんを男として見るはずはない。



そもそも、そんなことはどうだって良いことだ。
野々村さんが誰と友達になろうと……たとえ、大河内さんを好きになろうと、俺には何の関係もない。




それなのに、俺は不思議とそのことばかりを考えてしまう…



(……こんな調子じゃあ、駄目だな。
気分を切り換えないと…
アッシュ達にも苛々するのはもうやめよう…
そうだ、久し振りに週末は皆で遊びに行こう…!)

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