可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。
4 --- 弱虫くん、反撃開始?

(4)弱虫くん、反撃開始?



バスを降りて学校に着いたとき、ちょうど4限がはじまる前の10分休みだった。

職員室に寄ってから教室に入ると、すでに渚はいちばん後ろの自分の席に座っていた。




本来なら遅刻した生徒は職員室の前にある「遅刻届け」に記入して、中にいる先生の印鑑をもらわないと授業に出ることが許されない。


ちょっと面倒な手続きだ。


けど周囲から特別視されている渚は、それをしなくても許されてしまうような雰囲気があって。

今までにも授業中に堂々と遅刻してくることはあったけど、「後で提出するから」と言って遅刻届を持って来たことは一度もなかった。


『王様』には先生すらつい甘い顔をして、特別扱いしてしまうらしい。





あたしは教卓に遅刻届を置いて、そのまん前の自分の席に座る。


次の時間は現国のはずなのに、チャイムが鳴るとクラス委員の山根と塩沢が教壇の上に立った。

高校生のくせにメイクが厚くてちょっとケバい山根が、黒板になにかを書き終えると耳障りなくらい明るい声でいった。



「そいじゃ、みなさん。今から班を作ってくださーい!」



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