輪廻
輪廻転生
それからと云うもの、僕は虫かごを持って、怖い公園へ幾度も幾度も向かっていたな。

過去の自分の事なんか、もうとっくに忘れていたけれど、どこか懐かしいようで。

また、あの公園に行ってみよう。
あの、少女は大人になってるんだ。

あの公園は未だ存在していた。
ベンチへ座った。

りんね、と云う少女を何としてでも見てみたい。
君は僕を知らない。
僕も気を知らない。

明日の研究会に間に合いたいけれど、今日は満月だな。

そんな事をボンヤリ考えて居ると、一人の女性の声が聞こえた。

女性「リイ、おいで、こんな遅くに。」

少女が母親に駆け寄る。

それにしても、変わった名前。
アダナかな?
そして、年の離れた女。

ずっと会話を聞いていた。

リイ「リイ、嫌だ。パパは怖いもん。いつも飛行機の話してきて、何も解んない。」

女性「空を飛べるんだよ、リイのパパは。」

リイ「お姉ちゃんも、空を飛んで行っちゃうんだ、きっと。だってお姉ちゃんはいつもどっか上の空だよ。」

その子が言った後、女が、まだ幼い両腕を捕まえて告げた。

女性「違うのリイ。お姉ちゃんはパパとママの子じゃないの。何度言ったら解るの!だからお姉の事は良いの。」

リイ「お姉ちゃんは、リイのお姉ちゃんじゃないの…?そ、それにパパだって、いつもお空に飛んでっちゃって…。それに…。」

女性「総て、妄想よリイ。てんせい君は、リイのお兄ちゃんじゃない。」


僕は…
跡を追った。
その子達の。

てんせい君…?
同じ名前。

リイ「違う。天成君はお兄ちゃん。だってお姉ちゃんの手紙には、いつも、てんせいくんへ。ってあったから。タンスにあるんだよ。ママ、知らないの?お姉ちゃんは、いつも此処の公園の帰りには、必ずソレを持って帰って来てたよ。そして、タンスにしまってた。」
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