いろはにほへと
今のまま
地味。


暗い。


薄い。


気配がない。



空気。



波風の立たない湖面。



白い。


目立たない。




日本には、沢山の言葉があるもんだなといつも関心する。



ここに上げたのは、まさに私のためにあるような言葉達だ。




セーラー服の濃紺のスカーフを巻いて鏡の前に立つと、心から頷ける。




美容院の敷居が高過ぎるせいで、伸びたままになっている髪の毛は長い。




母親に梳いてもらうことはあるけれど、肩より20cm下という長さに変化はない。




眉や目が人様の目に触れるのが嫌で、前髪は常に涙袋辺りに掛かっている。





今時の子たちのスカート丈は私にとって最早異常な域にまで達していて、惜しげもなくその太股を晒していることが信じられない。



よって、私のスカートの丈は規定の膝下よりも長い。





それから他の人に言えば驚かれるのが、家にはテレビがないということだ。



といっても、話す人なんて居ないので、たまたま担任の先生に呼ばれた際に話の流れでテレビがないと言ったら非常に驚かれたというだけで、あの先生の家だけ特別にテレビというものが存在するのかもしれない。




エアコンもない。


母がよく父に『エアコンがあればいいのに』と言っているので知った単語である。



お店が涼しかったり温かかったりするのはどうやらそのエアコンのお陰らしい。

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