異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
1.いきなり余命宣告


 人工知能、通電開始。
 記憶領域、エラーチェック中。
 正常。
 システム領域、エラーチェック中。
 正常。
 オペレーティングシステム起動。
 絶対命令プログラム起動。
 人工知能起動。スタンバイ。


 なんだ? これ……。
 真っ黒な視界にバラバラと文字が表示される。意識がはっきりしてくるにつれて、それが見たこともない幾何学模様であることに気づいた。
 けれどなぜか、それが文字であることも、どういう意味なのかもオレにはわかっている。
 そして、視界が真っ黒なのは、目を閉じているからだと気づいた。ゆっくりと目を開く。真っ白な天井が目に入った。
 どこだ? ここは。
 オレは接待ゴルフの最中、雷に打たれて死んだはずだ。確かに死を自覚した。
 けれど、それは気のせいで、もしかして運良く助かったとか? てことは、ここは病院?
 一瞬そう考えたが、すぐに違うことを悟る。なにしろオレが寝ている場所が、柔らかい布団の上ではないからだ。おまけになぜか全裸。
 両手を体の横について起きあがったら、勢い余って尻が浮いた。

「おわっ!」

 あやうく足の間に頭をぶつけそうになる。体がやけに軽い。
 って、声がおかしい。ちょっと待て。これオレの体じゃない。肌の色は白く、手も足も華奢で細い。一応、男ではあるようだが。
 そして、目の前にハラリと垂れ下がった髪の毛からは色が抜けていた。
 雷に打たれたショックで白髪になったとか?
 そんで何日も生死の境をさまよって、日に当たらなかったから色白になって、寝たきりで筋肉が落ちたとか? そんなバカな。
 だったら、こんな固い診察台みたいなとこに寝てるわけないだろ。


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