不機嫌なアルバトロス
タイムリミットー時間切れー





「…そろそろ、起きたらどう?」



高い声が、私を夢の中から呼び覚ます。


いまだはっきりとはしないけれど、身体の感覚はある。


今まで見ていた夢の余韻が残っている。


けれど、どんな夢だったかは覚えていない。



なんだか、とても、悲しい夢だった気がする。




「…泣いてるの?」



開いた目を覗き込むようにして訊ねたのは、葉月、だった。



言われて初めて、自分が泣いていることに気付く。




「あ…れ?私…?」



慌ててがばっと起き上がると、眩暈がした。



「まだ、酒、残ってるのよ。弱いのね」



少し小ばかにしたように葉月が言うのでカチンと来る。



「貴女がっ、出したからでしょう?!私の何が気に入らないのか知らないけど文句があるなら面と向かってはっきり言いなさいよ!」



大声を出すと、吐き気がする。


実際は擦(かす)れた声しか出ていないけれど。

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