鬼部長の優しい手
告白と同僚の計画


「はぁ…」





部長と喧嘩をした後日、
“今日朝一で、絶対謝ろう!”と意気込んだのに



出勤して一時間が経っても、
私はまだ部長と話もしていない。


自然とため息がでてくる。






「…朝、起きたときは
あんなに気合い十分で来たのに…」



なんなら、鼻歌とか歌っちゃったりして、
軽い足取りで来たわよ!



でも、いざ、部長に会っちゃうと、
どんな顔すればいいかわかんなくなる…





こんなことになるなら、
あんなこと言わなきゃよかったかな…



「はぁ…」



私はパソコンを打つ手を止め、
再びため息をついた。





「あんたも部長も、
二人そろって、そんな辛気くさい顔して


勘弁してよね、こっちまで、
気分が下がる。」



私がため息をついたのと同じタイミングで、後ろのデスクにいる黛実が
くるりと振り返り、呆れたような顔で
そう言った。






「ご、ごめん…」


私は小さな声で謝ると、
少し遠くの方で書類をコピーしている
部長に目を向ける。






部長って厳しくて、
表情も全く変えなかったから、
少し苦手対象で、怒られること以外で
接点なんてなくて…




最近やっと近づけたと思ったら、
これだよ…





「本当、なんでこんなことに
なっちゃったんだろ…」






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