恋をしようよ、愛し合おうぜ!
28
車内で「約束」したとおり、あの後野田さんは、近所のコンビニで、おでんを買ってきてくれた。
「二人が過ごす最初の夜だから、ちょっと豪華に」という思惑とは、違う結果になったかもしれないけど、350mlのビール缶を二人で分け合って飲んだことも、私たちにとっては、とても思い出深い記念になった。

その後、野田さんから「お湯代節約」と言いくるめられて、二人でお風呂に入ったのは・・・あまりお湯を入れなくていい分、確かに節約にはなった。
そして私は、野田さんのスウェットシャツを着て、野田さんの腕を枕にし、野田さんにくっつくと、ぐっすり眠った。






ビビーッというアラーム音が、部屋中に鳴り響いている。
私は「うー」と唸りながら、胎児のように丸まると、耳まで布団をかぶった。
それでアラーム音が小さくなるかのように。

隣の野田氏は、最初、私同様「うー」と唸ると、何かつぶやきながら、やっとアラームを止めてくれた。

「・・・・・・あ?なんだこれ。いつもより1時間はえー!ったく、誰がセットしたんだよ。なつきっ。おまえ今日仕事か」
「1月4日まで休みー。てか目覚ましセットしたの、真吾くんしかいないでしょー?」

隣でガサゴソ動いた気配がした、と思ったら、背後から野田氏にガッシリ抱きつかれた。

「・・・もう一回言ってくれ」
「え?」
「さっきの!もう一回!」
「・・・・・真吾くん」
「ふーん。俺、真吾“くん”なんだ」と言った野田さんの声は、すごくウキウキしてたので、余程嬉しいんだなぁという思いが伝わってきた。

「うん。私より8つ年上なのに、時々すごく甘えたがるし。わ!ちょっと!」
「なんだよ」と言った野田さんは、私の向こうにあるサイドテーブルの引き出しに、手を伸ばしているところだ。

「・・・濡れてるよ。それにすっごく元気に立ち上がってるし」
「おう。俺、なっちゃんと朝イチャするために、1時間早く目覚ましセットしてたんだよなぁ」
「はあ?なにそれ。私、朝弱いんですけど。野田さんだって朝弱いんじゃなかったっけ」
「あ。もう“野田さん”に戻った。“真吾くん”って言え」と言った野田さんの声はむくれ気味だ。

もうホント、甘えたがりなんだから。
ていうか・・・この音は、ただいま何気に「装着中」ってことだよね?

「なにむくれて・・・んの」

野田さんが借り着ているスウェットシャツをめくって、私の背中にキスし始めた。



< 37 / 46 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop