猫被り王子は私の彼氏!!♡
周りは実は敵だらけ







階段の踊場で私達はいつもの

ように口喧嘩をしていた。







「だから、あれはちがうんだってば」

「は?何が違うんだよ。」

「だーかーらー」

 






喧嘩の原因は私が山下っていう 

男子から貰ったキーホルダーを

筆箱に付けてたこと。







「あれは山下くんが勝手に筆箱に

 付けてきたんだって」
   




「俺様がいるんだから、

 断ればいい話じゃねーか」 








こいつ…譲らないつもりだな。

この嫉妬男!!なすび!!






「だからねー、



『あれー?いつもはニコニコスマイル

 王子の月野くんが一体どうしたのー?』







突然聞こえてきた声にお互いを睨みつけて

た私と優は声がした方向に視線をうつし

た。








「チッ…」



優が舌打ちした。

私はあーあ。という感じに

溜め息を漏らす。









何かを掴んだようにニヤついた口元。

猫のように鋭く美しい瞳。






ヨコタ  ミエル 
横田 美愛瑠  





私達を上から見下ろすその子は

静かに階段を一段ずつおりてきた。








「びっくり!王子様の正体が実は

 猫被り俺様男子だなんて!」





「ははは☆一体何の事だろう!」
   




美愛瑠ちゃんは大袈裟に胸の前で手を

広げる。 






それに今更遅いだろ!とツッコミを

入れたくなる優が真似して手を広げた。

    


そんな二人をただ見ていた私はハッとして

すかさず美愛瑠ちゃんに詰め寄る。






「美愛瑠ちゃん!お願い!この事 

 黙っていて!!」







美愛瑠ちゃんは比較的クラスでも

1人で行動する子。





女子からも男子からも人気者なのに

1人が好きなようでどのグループにも

入ろうとしない。







「えー?どうしよっかな♪これ

皆に言っちゃえば凄い事になるよね!?」




「あ?お前言ったらタダじゃ

 おかねーからな!?」






さっきの猫被りの優はどこいった?と

いうかんじで優は美愛瑠ちゃんを威嚇。






それを慌てて私が止める。 





「止めんなよ!こんなのバラされたら

 俺様の今までの苦労が!!」





「でも脅しはだめだよ!!」






私が必死で優を抑える中、美愛瑠ちゃんは

さっきまで上げていた口角を下げ







「言うわけないじゃん。それで注目される
 
 のもごめんだし。」

 






と今まで聞いたことのない低い声で言った
 







「え…お前ももしかして?」






優が何かに気づいたように目を見開く。




私は何がもしかしてか分かんなくて

顔を傾けた。






「私もあんたと一緒。猫被ってんの。」

 



「は?!」






私がびっくりしてると優はさほど

驚きもせず、壁にもたれた。






「やっぱり。お前どうも俺と同じ匂い

するなって思ってたんだよな。ぶりっこ

アイドルが」





「そうよ。あんたはいいよね。自分の本当

の正体知ってる人いて。あたしはいないの

よ?あー、疲れたー。肩こるわ」






私は美愛瑠ちゃんのありのままの

姿に唖然とし、口をパクパクさせる以外

何も出来なかった。






だって、いつもは…





「おっはよん♪みんな!今日もみんなに

会えて嬉しいよ♡んふふ♪」






↑普通こんなキャラ痛くて嫌われる

 と考えるでしょう。



 しかし、美愛瑠ちゃんは頭の回転も

 早く時にはクラスのために一肌脱ぐ

 のでこのキャラでも嫌われずに通って

 ます。





だよ??でもなんでこの子が

猫被りなんて…







「理由はいいでしょ?そこのガキと

同じようなもんよ。」




「あ?誰がガキだよ?クソババア」






私は声に出してもないのに美愛瑠ちゃんに

悟られて驚いたのと優に毒吐く人を初めて

見て驚いたのでもう意味が分かんなくなっ

てた






きっと二人の正体を知らない人が

この光景を見たら驚いて失神するだろう。




私はまだ優の正体を知っていたから

失神せずにすんだけど。







「てゆうことで、そのガキの正体

 黙っとくから、あたしの正体も

 黙っといてね。じゃあね♡」






美愛瑠ちゃんは最後の「じゃあね」だけを

いつもの可愛い声で言うとそそくさと

どこかへ行ってしまった。






「あーくそ腹立つ。あのババアが。」



「優以外にも、あんな濃いいキャラが

 クラスに2人もいるなんて…」





疲れる!!
 





「あー?あいつと俺はちげーよ。

 俺はクラスの中心だけど、あいつは

 1人。」





「そりゃそうだけど。あの子も中心に

 なろうと思ったら、すぐなれるでしょ」



「まーな。てか、キーホルダー後で

 外してゴミ箱捨てとけ。山下の前でな」




「は?出来るわけないでしょ?この鬼!」









またまた凄いキャラの登場です…





< 50 / 61 >

この作品をシェア

pagetop