私には、ストーカーがいる
二章

ーー

私とストーカーさんの距離は、一定を保ったままだった。

現状維持。
部屋にカメラ仕掛けたり、私の行動を全て把握したり、合い鍵を作り部屋に不法侵入したり、スマフォ盗んでみたりと、やることは生粋のストーカーなのだけど、正直、好意を持ってしまった。

テレビでよくあるストーカーと、彼は何かが違う。やっていることは同じなのだけど、まったくもって不快にはならない。被害者意識が湧かない。

私の感性の問題かもしれないけど。

今も夜のバイト帰り。
足音はしないから確認出来ないけど、彼は後ろにいるかなと何度も振り返ってしまう。

そのせいか、帰宅に時間がかかった。白滝冷めた。

レンジで温め直そうと、部屋に入ればーー男が立っていた。


引きちぎられたカーテン、引き出し全てを開けられたタンス、無造作にひっくり返っているコタツ、皿やコップが割れて散乱、ベッドがぐしょぐしょに濡れていて、窓が割られていた。

電気を点けずとも分かる満月の輝きを恨む。台風にでもあったかのような部屋の中心に、男は立っていた。

チラチラと乱反射するかのような埃の中、男のーー

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