カクテル・キス
カクテル・キス




「すいませーん、生ひとつ追加ー」


ガチャガチャとした居酒屋に声が響いた。

きっと仕切りの向こう、
社会人たちの声なんだと思う。


ビール、そんなに美味しいのかな……。


私は手に持っていたソフトドリンクを

ちびっと口につける。


「愛華(あいか)ちゃーん、飲んでるー?」


「ひゃっ!」


急に隣から上がった声にびっくりして

肩が跳ね上がる。


「もう、坂口(さかぐち)さん、驚かさないで下さいよー」


声のかかったほうを見ると、

既にアルコールのかなり入っている先輩の姿が。


顔、真っ赤だし。




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