イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
11、どっちなの? ー 桃華side
 何だろう?

 悪寒がする。

 しかも、鳥肌まで立ってる。

 ブルブルと震えていたら、また瑠海が手を握ってきた。

「こんなとこで説教なんかするから身体が冷たくなるんだよ。行くよ」 

 いや、そうじゃなくて、なんか呪いをかけられたような気がする。

「もう木村さんはいないし、手は繋ぐ必要ありませんよ。子供じゃないし、ちゃんとついて行きますから」

 手を振りほどこうとすると、瑠海がさらに強く握ってきた。

「手冷たいよ。俺の手と思わずカイロと思えばいいでしょ?」

 カイロ……。言われてみると確かに温い。

 じゃあ、こっちも。

「……何で両手出してくるの?」
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