「私は貴方のモノ」【完結】
I don't want to notice

薄く笑みを乗せて、

「…さあ?」

そうやって俺はタエに言った。


納得なんか出来ないって顔をしている。
でも、タエが納得する必要はないんだ。


「ともかく、俺はお前を離すつもりなんてない。
だから、諦めろ」


そうだ、諦めろ。

お前は俺のモノ、だ。



一度、タエの唇にキスをすると立ち上がると、まだ俯くタエに声をかける。


「出かけるぞ」


タエはのそのそと、洋服を着ている。
それを見て、俺は再度自分のパーカーを投げた。


目を真ん丸にしながらタエはそのパーカーを見ている。
顔は相変わらず、仏頂面だったけどそれを着るタエを見て、思わず頬が緩んだ。


オーバーオールに、だぼだぼの俺のパーカー。
それは。
どこからどう見ても、だらしない格好だったけど。


でも、これでタエが俺のモノかもしれない。
そう思ったら、何かが満たされた様な気がしたんだ。
< 18 / 219 >

この作品をシェア

pagetop