【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
三、イベント前夜
春の雨は、桜流しと言われる。

三日三晩続いた雨は、その言葉通り、家の桜を流してくれた。

でも、そこまで胸が痛まないのはこの桜色の綺麗なワンピースのおかげかもしれない。



イベントの招待状を何度も何度も開きながら考えることは、彼の思わせぶりで優しい言葉たち。



余りにも招待状ばかり見ているとお弟子さんや母に不振がられるといけないので、服と靴は春屋堂のロッカーに隠すことに決めた。





「行ってまいります」



もうほぼ母の監視は無しに等しいけれど、油断も信用も二度としたくないから。





バス停を二回通り過ぎれば着く春屋堂間までの道のりで、服の箱を見つかられたくなかったのでバスで向かう。

本当は、乗り物を使うと母が怖いのだけれど、もう跡取りではない私に、そこまで人目を気にしろとは言わないはず。
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