好きになんてならない!!
好きになんてならない!!


「まさか、ストレスでこうなるとはね」

私は手首についた点滴を、面倒臭そうに、携帯を持ち変え、耳にあてた。

もう、此処に来てから1ヶ月になろうとしている。やらなきゃいけない仕事も山ほどあるのに、まさか、こんなに拘束される事になるなんて。

そう思うと、もう何度目かの溜め息が、自然ともれ出る。

『しかたないわよ、紗英、頑張り過ぎるとこあるから。これも、いい機会だと思ってゆっくり休みなさい。こっちは問題ないからさ』

「うん、ありがとう」

同期の親友、洋子が休憩中に連絡をくれた。

オフィスに決まって流れる、午後を知らせるメロディが携帯からもれると、ふと、彼の事を思い出した。


「あのさ……正弘はどうしてる?」

『……やっぱり、気になる?』

正弘とは、別れたばかりの元彼で、同じ部署の若い派遣社員に二股をかけていた。一見、真面目そうだけど、中身は裏腹の女ったらし。

それを知った時は、ショックだったし、食欲もなくなったけど……でも、別に今更、未練があるとかじゃなくて。


「ただ、何となく聞いてみただけ」

『そか。まあ、アイツは相変わらず元……』


ブチ。


「!!」


突然、後ろから携帯を取り上げると、涼しい顔でその男は携帯の電源を切った。

白衣を纏った、生け簀かない私のクソ担当医。


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