真夜中のパレード
昼と夜



透子が朝目覚めると、
上条はなぜかベッドに寄りかかって座ったまま眠っていた。



「……上条さん?」



一瞬起きているのかと思って声をかけたけれど、
やっぱり眠っている。


ひざを立て、それに頭を埋めて険しい表情で眠っていた。


そういえば、昔何かの映画で見たことがある気がする。



眠っている間も、武士は気を抜いてはいけないと。


いつ刺客が襲ってくるか分からないので、
油断しないようにすぐに攻撃に入れる姿勢で
眠らなければいけない。



決して布団に横になってはいけないのだ。


つまり、それらの情報を総合すると上条は。




「……武士?」



ではないと思うが、不思議だ。


彼を起こさないようにこっそり布団を抜け出し、
洗面台で顔を洗って鏡で髪の毛をチェックした。



「よかった」


小さく息をつく。

眠っている間にカツラが外れ、
それを見られないかが一番心配だった。


「いたた……」


顔をしかめて頭をそっとさすった。


頭皮が少しずきずきする。


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