イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
14、桃華への宿題 ー 瑠海side
「おお、すごい。このカーフの艶、この革の匂い」

 タンナーの工場で桃華が瞳を輝かしている。

 昨日のパーティ終了後、飛行機でフランスとイタリアの国境付近まで移動して、今日はタンナーの工場を視察している。

「革の誘惑に負けて頬擦りしないでよ」

 思わず笑みが溢れる。

 桃華はかなりご機嫌だ。

 昨日のパーティとはえらい違いだな。

「さすが世界最高級ですね。シャーリーの革もここで出来てると思うと、喜びもひとしおですよ。ベルガーさん、よく見学許してくれましたね」

「日本での接待を気に入ってくれてね。業務提携したんだ。最高級の革はうちに優先的に回してくれるようになる」

「でも……シャーリーはどうなるんですか?子牛減ってて革の生産量も減ってるのに」
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