真夜中のパレード
search for destiny



「正直に言います。
今日の昼、『Santana』に行きました」




透子は凍りついた表情で上条を見た。


会社の帰り、どうしても話したいことがあると
電話をもらった。


迷っていたけれど、
彼の只事ではなさそうな真剣な声を聞き
それを受け入れた。


そして家に来て欲しいと言われ、車に乗り込んだ。



家に向かうまでの間、
彼は一言も話してくれなかった。


母親のことを考え、
しばらく上条と距離をとろうと思った。


母が大変な時に、浮かれてデートなどしている場合では
ないと判断したのだ。


しかし、彼がこんなに思いつめる理由は何か。


そして部屋について座った途端、
Santanaに行ったと言われた。


血の気が一気にひいた気がする。


上条は、まっすぐに自分を見つめている。


視線を逸らさずに。

ただただ、ひたすらまっすぐに。


けれどその瞳には、
いつもと違って深い悲しみの色が宿っていた。


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