イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
18、責任と義務 ー 瑠海side
 ギスランの葬儀がルクエ旧市街にある大聖堂で行われた。

 葬儀には各国の大使レベルが参列。

 宮殿を出て三十分ほどかけて大聖堂まで葬送行進した。

 厳戒態勢だったが、国民の反応は冷静だった。

 ギスランの普段の行いからすれば当然の結果かもしれない。

 交通事故死の原因も彼の飲酒運転。

 祖母が亡くなった時程の国民の悲しみは感じられない。

 だが、大公である叔父は、棺の前で泣き崩れた。

 普段は隙を見せない彼が肩を震わせて泣くのを初めて見た。

 叔父にはギスランしか息子がいなかった。

 そして、今、俺の右手の薬指にはルクエ公国皇太子の証である指輪が光ってる。

 指輪に刻印された鷹はルクエ公国の象徴。

 鷹の周りにはサファイアが散りばめられている。

 自分がこれをはめることになるとは思ってもみなかった。

 さて、これからどうすべきか。
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