イージーラブじゃ愛せない
●すれ違いラストチャンス●

●すれ違いラストチャンス●



『ジョージと友達になれて良かった。僕、無口な方だからさ職場で上手くやれるか最初は不安だったんだ。だから配属された初日にジョージから明るく声掛けてくれて本当に嬉しく思ったんだよ。ありがとう』


俺のどうしようもなく大切な男友達は、新潟に出発する前夜の飲み会でそう言って手を差し出してきた。

堪えきれなくなって泣きながらガッチリと握手を返した俺に、優吾は

『柴木ちゃんと上手くやんなよ』

と言って、最後に優しく目を細めた。


その言葉は俺の胸にストレートに染み込む。



優吾に辞令が出て、そして別れの日までの約3ヵ月。俺は改めて友達の大切さを痛感した。

やっぱり友達って、俺にとってかけがえの無い大切なもんだよ。今も昔も、きっとこれからだって。


けれど、子供の頃と違うのは、その形が変わったって友情は変わらないと自信を持って言える事だ。

例え遠く離れたって。


それは、新潟へ移動した優吾だけでなく。りんりんと、胡桃にも――つまり。

俺自身が遠くへ行っても、みんなをかけがえの無い友達だと思える。


そんな気持ちを強く噛みしめながら俺は――4月。福井の新店舗への辞令が書かれた封筒を握りしめた。

< 200 / 245 >

この作品をシェア

pagetop