フェイント王子たち
引っ越し

「へ〜、これが、例の名刺?」

会社の昼休み、いつものように美沙と向かい合ってお弁当を食べた後、いざいざ高橋さんに電話をかけるべく、取り出した名刺をサッと美沙に取り上げられた。

「そ。じゃ、かけるから、返して」

「私の携帯貸そうか?」

「ん?それって、何気に高橋さんの番号、携帯に残そうとしてる?」

「ううん、私の番号を高橋さんの携帯に残そうとしてる」

「…なるほど。さ、返して」

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