課長、ちゃんとしてください。
課長、やめてください







監査が終わり、忙しさもひと段落ついた。




あたしは少しほっとして、日曜日、髪を切りに行った。





別に髪型に対するこだわりなんか何一つないので、いつも、住んでいるアパートの一番近くにある小さな美容院に行っている。




おばあちゃんが一人でやっている、こじんまりとしたお店だ。





最初に店のドアを開けたとき、おばあちゃんは驚いたような顔をして、「あなたみたいな若い子が来たのは初めて」と言った。




「流行のヘアスタイルなんか分からない」と困った顔をするおばあちゃんに、「あたしも全く分かりません」と告げると、にっこり笑って、手際よくカットしてくれた。





それ以来、髪が伸びてきてうざったくなってきたら、そのお店に行くことにしている。






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