恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
恋はしょうがない。3

告白






「……好きです」




生徒たちが帰ってしまった、ひっそりとした夕暮れ時の教室――。


その告白を耳にした瞬間、古庄の全てが固まった。


1年の間に何度も女子生徒たちからもらう想いの言葉だが、今日のそれは女子生徒が発しているものでも、古庄に投げかけられているものでもない。



夕陽が赤く照らし出した教室の窓辺には、真琴が驚いた顔をして振り向いている。


そして、その目をしっかりと捉えて、明快な口調で告白をしたのは……、真琴が担任をするクラスの副担任、高原だった。



「……え?何?…夕陽が好きなの?」


どう見ても、自分に告白されている状況なのに真琴がそう思ったのは、教室の窓から見える夕陽があまりにも美しかったからだ。


殺風景な学校の中に、時として生まれるこの夢のような空間。


そのロマンチックな空間でほんの少しの間だけ、週末婚の寂しさを埋めるべく、二人きりの甘い時間を過ごしたいと目論んでいた古庄は、放課後はいつも教室へ赴く真琴を追って来て、今まさに教室へ入ろうとしていたところだった。





< 1 / 343 >

この作品をシェア

pagetop